お知らせ 2019年10月1日からこのブログ
「あなたの幸せ力を引き出すストーリーセラピー【ストセラ】」は
https://storytherapy.net/
へ移行します。

こちらのseesaa版は、これまでの記事のアーカイブとして残します。
今後とも、よろしくお願いいたします。

2016年05月11日

小説「化物語 上 #3 するがモンキー 西尾維新 著 講談社」その2 ストーカーとオトナの分かれ道



助けるんじゃない。
その人が勝手に助かるだけ。

周囲の人にできるのは、
その手伝いをすることくらい。

西尾維新さんの「物語シリーズ」
にわたしが惹かれたのは、
一貫してそのことが貫かれているからです。

そして、ドラマとして描かれるのは
その『手伝い』によって育まれる
人間関係であり、
『勝手に助かるだけ』の本人の成長であったり。

これが、若者向けに発信される
楽しい冒険ファンタジーであるということは
とても意義深いことだと思います。

「100%趣味で書かれた小説です」
と本のケースには銘打たれているシリーズもあります。

本当にそうなのかもしれません。

かなり伸びやかな雰囲気が醸し出されています。
書いているご本人が楽しみながら
伸び伸び書かないとこうはならないだろうと
思わされます。

でも、ただ本人だけが楽しむだけでも、
やっぱりこうはならないだろうとも思います。

才能であったり作家として培った技術であったり
人間性であったり、思慮深さであったり…

自分が楽しみながら人を喜ばせる
総合的なセンスみたいなものがないと
こんな作品にはならないだろうなとも思うわけです。

ご本人は、難しいことを考えずに
ただ楽しんでくれれば…と思っているでしょうが、

物語の中で、しかもエンターテインメントの中で、
それも10代くらいからの若者に向けた
わかりやすく面白おかしいライトノベルという形で
セラピーをやってのけている…

その手腕。

ストーリーセラピストとしては素直に嫉妬してしまいます。



毎週息子のためにDVDレンタルで借りていたアニメ「物語シリーズ」も、
残すところ「終物語」だけになってきました。
と、言いつつも、6月には「暦物語」、7月には「傷物語 鉄血編」が
リリースされ、「傷物語」はさらに「熱血編」「冷血編」と順次公開。
原作の方はまだアニメ化されていない「〜物語」はあるようなので
息子が飽きなければ、いや飽きても、わたしがハマッてしまったので
すべて見ることになるでしょう。

小説「化物語(バケモノガタリ)」 上巻
第3話「するがモンキー」  西尾維新 著 講談社


阿良々木くんの後輩、神原駿河は
左腕、肘の上あたりから指先まで、
包帯をぐるぐる巻きにして登場します。

もちろん、怪異がらみ。

実は息子が借りてきて観ていたアニメで
わたしが初めて目にしたこのシリーズが
この「するがモンキー」でした。

主人公の阿良々木と、
萌キャラのような
戦場ヶ原や神原や羽川や八九寺との
無駄に脱線するけど心地よいテンポの
ギャグのような会話のやり取り。

小説ではわかりませんが、
ビジュアルにすると異様にエロっぽくなる
ギリギリアウトのエロ描写、
そんな中で、突如起こる化け物と
阿良々木くんのバトル。

阿良々木くんは、どう見ても
普通なら即死のような瀕死の怪我を負います。

だから、「こんなの子供に見せていいのか?」
と、最初にちら見しただけのインパクトだけで
わたしの心はかなり拒絶反応を見せました。

それが、なぜ今はわたしが率先してハマッて、
息子にも見せているのか…?

それは、描かれていること、語られていることが
真っ当だからです。
バランス感覚がないと描けない。



この「するがモンキー」では、タイトル通り
神原駿河が怪異とからみ、
阿良々木くんがまた世話をやく。

阿良々木くんは、春休みに吸血鬼になって
人間に戻るという経験をしているので
その後遺症が残っていて、
回復能力があるんですね。

だから、散々な怪我をしても、
ある程度の時間が経てば治ってしまう。

それにしても、今回は強敵。
悪意を持って阿良々木くんを殺そうとする。

そんなお話のなかで、神原が自省する部分があります。

ある人への思いが成就せず、
嫉妬していた自分に気づく。
大好きなある人の力になりたいなんて
思っていたつもりだったのに、
それを自分が叶えることができず
他の人がそれを叶えたことを知って嫉妬に燃える。
「なぜ自分じゃダメだったんだ」という苦しみが
「アイツさえいなければ」という歪んだ嫉妬に代わる。

それは、結局は欺瞞、エゴ、
自分さえよければよかったということ…

そんな風に自分を反省するんですね。

あなたがもし思春期を過ぎた大人であれば
身に覚えがある感じ方かもしれませんね。

わたしにはあります。

その神原のように自分を客観視して
その感情の意味を理解できるかどうか?

これは大人になれるかなれないか?とともに、
ストーカーになってしまうか真っ当に成長できるか?
の分かれ目でもありますよね。

助けるんじゃない。自分で勝手に助かるだけ。

悩みや苦しみというのは
その人の人生の課題であって、
それを乗り越えることで成長をする。

それを無暗に助けることは成長のチャンスを奪う
ということになる。

だから、カウンセラーは、クライアントの前に出る前に
「自分がクライアントを助けるんじゃない。
そっとサポートをするだけだ」
と自分に言い聞かせるんですね。

対話を通して、相談者の鏡になり、
相談者が自分で自分に気づく。

そうすることで、自ら考えを整理し、
気持ちを整理して、解決策を導き出したり、
前向きに生きる元気を取り戻したりしていく。

まさに自分で勝手に助かっていく。

阿良々木くんや、怪異の専門家である
忍野メメがこの物語でやっていることは
基本的にそういうことです。

だから、登場人物たちが悩み苦しみながら
成長していく姿もまた、読んでいる方が
共感を持って、ある意味愛情をもって見守れる。

この伸び伸び感と、エンターテインメント性と
情緒的なバランス感覚。
プロフェッショナルが100%趣味で書いたからこそ
生まれ得る希な作品なんじゃないですかね。

変態エロアニメの原作だと思っていたわたしは
大反省中です。

西尾維新さんの他の作品も読んでみたくなりました。
い〜っぱいあるみたいだけど
どれが自分にヒットするかな〜♪

「物語」シリーズは真っ当で純粋で、非常にオトナな
物語セラピーといっても過言ではないと思います。

さ、今日も、続き読も!


                  全ての物語のために









posted by ストーリーセラピスト at 08:00| Comment(0) | TrackBack(0) | ストーリーセラピー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この記事へのトラックバック