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2016年05月06日

小説「化物語 上 #1 ひたぎクラブ 西尾維新 著 講談社」重みから始まるライトな小説



1、2年前にあるワイドショーで、
街頭インタビューの様子が流れていました。

奥さんと旦那さんの関係を
奥様方に聞いてまわっている…。

熟年離婚か何かの特集だったように思います。

女性のお友達と連れ立って
ショッピングを楽しんでいたらしい中年…
というかもう、初老といってよいのかくらいの女性。

「夫のことは無視してましたから。アハハハ」

と笑いながら言っている。
それが街頭インタビューの最後だったか、
衝撃が一番強かったからそういう印象なのか
記憶が定かではありませんが、
画面がスタジオに戻ると、
普通に「やっぱり女性は強いから」
みたいなお話をしている。

なんだコレはと思いました。

真昼間の公共のテレビで、
人殺しをして野放しで笑ってる奥様を映して
スタジオでも笑いながら「やっぱり女性はつよい」
という薄いコメントで流される。

無視は魂の殺人。
精神的なDV…モラハラの中でも
人殺しと同じくらい『人としてやってはならない行為』
なのですが、それが認識されてない公共の電波
にも驚きでしたが、

わたしが嘆いたのは
それを弱さだと気づけず、むしろ強さだと
言ってしまえる感受性の鈍さです。

こんなんじゃあ日本は世界から取り残される。

本気でそんな危機感すら感じました。



小説「機動戦士ガンダムUC(ユニコーン)」が
面白すぎてドンドン読み進めてしまいもう半分読破しました。
アニメより少し早く進めるペースのつもりがそうはいかない。
そこで、ちょっと休憩のつもりで、息子のために買った小説
を読み始めたのですが、とってもハマってます。

小説「化物語(バケモノガタリ)」 上巻
第1話「ひたぎクラブ」 西尾維新 著 講談社


を読みました。

高校3年生のGWが終わった5月8日、

阿良々木暦が学校の階段を上がっていると
クラスメイトの女子、戦場ヶ原ひたぎが
足を滑らせて上から落ちてきます。

阿良々木は咄嗟に戦場ヶ原を受け止めますが、
戦場ヶ原には重さ…つまり体重が
ほぼ存在しないことに気づいてしまいます。

放課後、クラスの副委員長でもある阿良々木は
委員長の羽川翼と文化祭について
話をしているときに戦場ヶ原についての情報を
聞きだそうとします。

阿良々木は1年、2年と
戦場ヶ原とはクラスメイトでしたが、
会話もしたことがありません。

羽川とも春休みまでは知り合いでもなかったのですが
春休みに阿良々木が遭遇した事件に羽川も関わり
偶然クラスが同じになったことから友だちになったのでした。

そしてそんな羽川は戦場ヶ原と同じ中学出身。

中学時代は優しくて誰にでも分け隔てなく接する
人気者で陸上部のエースだった戦場ヶ原。
それが、病気になり高校から人柄が変わった…らしいと。

阿良々木は春休みに自分が襲われた時と
GWの羽川の事件の時に助けてもらった
忍野メメという大人を訪ねるために教室を出ます。

しかし、教室の前で阿良々木と羽川の会話を
盗み聞きしていた戦場ヶ原に行く手をふさがれ
カッターナイフとホッチキスを口の中に入れられて…



文芸というよりもライトノベルというジャンルに
分類される小説だそうです。

確かに“ライト”な感じはします。
活字ではあるけど内容は少年マンガのような感じ。
実際にはアニメシリーズとしても
大人気だったようです。

少年マンガのような感じといっても、
文章も内容もテイストとしてはわたしにとっては
“新しい”ものでした。

新しいといってもこのシリーズ第1巻が出たのが
2006年なのでもう10年前の作品ですね。

新しいものに敏感な人たちは、
ライトノベルのファンも、普通の文芸ファンも
しっかりチェックされていたことでしょう。

わたしも書店でその存在は知っていましたが
萌えアニメ系のお話だと勝手に決めつけて
全く興味がありませんでした。

今年になって、小学6年生の息子がTSUTAYAで
シリーズ最終章である「終物語」のアニメの予告編を見て
「コレ、面白そう」と興味を示し、
そのまま店内でシリーズ作品を調べて
DVDを借り始めたのが、このシリーズとの出会いでした。

正直、わたしはどう楽しめば良いのか分からず
付いていけなかったのですが、
各話のクライマックスで怪異について
解決の手伝いをしてくれる忍野メメという
軽薄そうな男性が言うことがとても深く、
主人公たちが自分の中のマイナスの感情と向き合い
成長していく姿が描かれるエンターテインメントであることが
分かってきました。

みているうちに、小気味よい会話のテンポや
登場人物たちの漫才のようなやり取りが
心地よく感じるようになり、楽しみ方もわかってきました。

小説は、阿良々木暦くんの視点で書かれ
彼の心情描写や、アニメではカットされていた会話も多々あり
さらに深く楽しむことができます。

そんなシリーズの第1話が今回の「ひたぎクラブ」

ライトノベルというジャンルの中で
確かにライトに楽しめる面白おかしいテイストで
描かれているにもかかわらず、
テーマは『重さ』です。

このあたりが、単なる軽いエンターテインメントだけを
狙っているのではないことがうかがえます。

戦場ヶ原ひたぎは、自分の辛い経験から
人との接触を極端に絶っていました。

そして、思いでも捨てたかのような、
感情さえも捨てたかのような生き方をしていました。

思い、想い、重い。

人との関係もそこに発生するしがらみも、
そしてそこで起こる出来事も
それに対する感情も、重さがあります。

軽薄、軽率、軽視…
そんな態度でことに向き合うと成長できない。

でも、重い…
自分の心では受け止めきれないくらい
つらい経験で心を壊すくらいなら
その重みから逃げていた方がいい。

夫を無視していたというモラハラ妻も
本当はそういう逃げの姿勢なんですよね。

忍野メメは戦場ヶ原に言います。
「被害者面が気に食わねえっつってんだよ」
「どんな重かろうと、それはきみが背負わなくてはならないものだ。
他人任せにしちゃあ――いけないね」
(P56、P85より引用、改行はブログ筆者による)


他者を無視するというのは
自分が向き合うべき感情から逃れて
相手に怒りをぶつけることで
責任転嫁するという行為です。

それは自分の弱さ。
決して強さではない。

忍野というおっさんはいちいち他人に
そんなことを言う人ではないようです。

人助けが忍野の仕事ではなく
人が勝手に助かるのをちょっと手伝うだけ…

妖怪、幽霊、モンスター?などなど、
世の不思議=怪異を扱ったファンタジー青春エンタメ
という軽いタッチを装いながら
とても大切なことを伝えてくる物語。

じっくりシリーズを読んで行こうと思います。


               全ての物語のために









posted by ストーリーセラピスト at 08:00| Comment(0) | TrackBack(0) | ストーリーセラピー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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