お知らせ 2019年10月1日からこのブログ
「あなたの幸せ力を引き出すストーリーセラピー【ストセラ】」は
https://storytherapy.net/
へ移行します。

こちらのseesaa版は、これまでの記事のアーカイブとして残します。
今後とも、よろしくお願いいたします。

2015年09月23日

小説「月に繭 地には果実 下 福井晴敏 著 (幻冬舎文庫)」流される自分を知っているか?



「だって、みんな持ってるもん!」

子どもの頃に欲しいものがあって
親にそういうと、「みんなって誰と誰?」
と聞かれ、答えようとすると、
「みんな」ではないことに気づかされました。

そんな経験がある人も多いのでは?

みんながやっている。みんなもそうだ。

この感覚は「乗り遅れちゃいけない」
「仲間外れにされたくない」
そういう本能からくるものです。

人間の3大欲求の一つとされる集団欲。

みんなから認められたい、
自分の居場所が欲しい。

それは本能ですから、満たされないと
心の病を患う人もいる。

一方で、この集団欲は、
集団心理となって、個人の意志とは関係ない
とんでもない行動を起こさせる場合もあります。

人殺しが正義に転化されてしまう戦争なんて
その最たるものでしょう。



夏前から意識的にビジネス書や実用書を放り出して
ノンフィクションや小説を読むようにしてきました。
本は本でも、物語はやはり考えることの深みが違いますね。

小説「月に繭 地には果実」 下巻

福井晴敏 著 (幻冬舎文庫)


を読み終えました。

再生して人が住めるようになった地球に
戻りたいと願っていた月の民。
しかし、その計画を実行に移した時から
地球の民との争いが起こり
戦争は誰も止められなくなっていきました。

数千年前、人が住めないほどの環境へ追いやった
戦争の歴史…科学文明の歴史、「黒歴史」
それらが地底に埋没させた負の遺産。
かずかずの兵器などと一緒に発掘された宇宙船。

月の姫、ディアナ・ソレルの地球帰還計画への
反対派アグリッパ・メンテナーは月の守人となりながら
ディアナ暗殺を目論んで、ディアナの部下たちの中に
自分の息がかかったスパイを潜り込ませていました。

地球の民との戦争が必要以上に激化するのも
彼らの動きがあったからです。

ディアナ・ソレルは、月の民でありながら
地球側に立って戦っていた少年ロラン・セアックや
地球の交渉の代表者グエン・ラインフォードたちと共に
アグリッパとの決着を付けに月へと向かいます。

そこで、月の民も地球の民も、
ソレル家だけしか観覧できないようになっていた
「黒歴史」の映像資料をディアナに見せられ、
今、自分たちがやっていることの非情さを
突きつけられるのですが・・・



主人公のロラン・セアックとともに
地球に降りてきて、パン屋の後継ぎになったキース・レジェ。

彼は、パン屋の主人になり、
地球の人も、月からの入植者も分け隔てなく
雇い入れていました。

しかし、戦争の激化とともに、
「敵をかくまっている」という観られ方が強まり
月の人間を雇い続けるなら、実力で排除する…
という気運が地域の人たちの中で強まっていきます。

ある夜、ライフル銃まで持ち出して、
地域の商工会や住人たちがキースの向上を囲みました。

その時のキース視点の文章を引用します。
(改行はブログ筆者による)

『こちらを睨み据える人の中には、通いで工場に働きにきている主婦連の顔もある。
昨日までともに働いていた者たちを人質として扱い、
盾代わりにできる人の心理とはなんなのか、パニックにつき動かされた集団心理は、
ここまで個人の心をねじ曲げるものなのか。』

このあと、キースの店には火が放たれます。

パニックに突き動かされた集団心理。

怖ろしい情景しか思い浮かびませんが、
東北の震災や津波の被害の後、
列を作って配給をまったりする日本人の姿が
世界に感動を与えていました。

そういう部分が日本人にはある。
そう考えると希望があるとは思えるのですが、
太平洋戦争や、その後もオイルショックなど
集団心理の暴走はやはり起こしているわけです。

それは、戦争や物資の枯渇と言うことではなく、
実はもっと豊かなはずの状態、
バブル景気時の浮かれ具合というのも、
その代表的な症状でしょう。

そう考えると、わたしたちは
「みんながそうだから」と言葉にするよりも前に
無意識に、自然と世の中の空気に
流されているような部分もあるのかもしれません。

社会生活をしていかなければならない。
そのために、わたしたちは協力して社会を作っている。
だからそのルールの上で生きていくのは
当たり前のことなのですが、
その事を意識していきているのと、
無自覚に流されるのとでは大きな違いです。

いざ、ことが起きたときに、
本当にどうするのが一番いいのか?

考える頭も働く前に、周囲の雰囲気に流されて
自分の思考まで支配されてしまう。

昨日まで一緒に働いていた人間を
敵とみなして殺し合いにまで発展させて
それを当然と思い、そのおかしさにさえ気づけなくなる。

無用な争いを起こさないためには
一人ひとりが理性的なモノの見方と、
自分の感情の抑制ができなければなりません。
そのためには、大事な時に流されない
そんな自分を持っておかなければならない。

そのためには、日頃の生活の中でも
ルールに乗って流れている部分を自覚しておける
感受性は必要ですよね。



               全ての物語のために






















posted by ストーリーセラピスト at 08:00| Comment(0) | TrackBack(0) | ストーリーセラピー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この記事へのトラックバック
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。