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2015年09月08日

「劇場版 弱虫ペダル」争うという平和



「月に繭 地には果実」(幻冬舎文庫)

という福井晴敏さんの小説を読んでいます。

数千年先の未来の話で、
人が住めなくなるほど核戦争で地球を汚染した人間。
地球が再び人の住める環境に再生されるのを待ち
閉ざされた月の裏側で密やかに生きながらえた
人間たちが地球に帰ろうとします。

しかし、地球は地球で、生き残っていた僅かな人類が
人が住めないほどの状態から何千年もかけて
それ相応の苦労を重ねて地球を再生さえながら
生きながらえていました。

月の民は地球に戻ることを夢見て、
闘争本能を意識的に封印して…
地球の民は、同じ過ちを繰り返さないように
戦争の記憶そのものを「黒歴史」として封印して、
それぞれの場所で争いを起こさないように
穏やかな平和を維持していたのです。

しかし、月から地球への帰還が
始まると、地球の人から見れば「宇宙人」の侵略。
月の人からは「元の故郷への帰還」。
当然争いが起こります。

遠い遠い未来のお話ですが、
根本はとてもシンプルな話で、自分たちが生きるための
領土をめぐる争い…

それは兵器を使った殺し合いという争い…
つまり、戦争という形で争われます。

今でもわたしたち地球人は
各国、領土問題は、国と国の関係に
緊張感を強いています。

そこには、単純な陣取りゲームではなくて
経済という国民の生活に直結した問題や
思想や所有欲という感情や本能に根差したものも
絡まっているのが人間です。

討論だけでは決められないことがあるから争う。
でも、どうしても争いというものは
暴力で奪わないと決着はつかないのでしょうか?

そうではない争い方で勝敗を決めるという方法を
わたしたちは知っているのに?



夏休みの最後にと、春のテレビシリーズ終了時から
計画していた息子と父親であるわたしの企画。
2人とも楽しめるアニメの劇場版を見に行く計画は
夏休み終了後、最初の土日を利用して、
かつ、息子も喜ぶ叔父(わたしの弟)も参加して、
無事に遂行することができました。
「あ〜、一日が早すぎる〜」という、楽しんだ証である
息子のセリフを聞けて、大人としてもうれしい限りです。

「劇場版 弱虫ペダル」

を観てきました。

激しい戦いの末、
インターハイで総合優勝を果たした
総北高校自転車競技部。

小さい身体でアニメが好きなメガネの
小野田坂道は学校に戻り
インターハイ優勝の垂れ幕に
自分の名前が大々的にしたためられている事実に
呆然とします。

高校生活最大の大会が終わり、
主将の金城や、スプリンターの田所、
そしてエースクライマーの巻島ら3年生は
大学進学へ向けての準備に入ろうとしていました。

そんな総北高校に、
インターハイの成績が良かったチームが出場する
「熊本火の国やまなみレース」への招待の話がきます。

毎年招待されていたが出場していなかった
箱根学園は、総北が出るとあって出場を決定。
さらに、総北、箱根学園に肉薄した
京都伏見や広島呉南などのライバルチームや、
炎のクライマー吉本が所属する地元・熊本台一など、
全国の強豪校が集結するレースとあって、
2日間にわたるレースは、
インターハイに負けず劣らずの注目を
集めていました。

坂道たちはインターハイの
フルメンバーで再び走れるとあって、意気揚々と
熊本のレースへ向けての準備を進めるのですが…。



映画のレビューサイトを見ていると、
点数は可もなく不可もなくといったところ。
それぞれの感想を読むと、
極端に点数の低い人と、極端に高い人がいて
総合評価が平均的な点数になっているのがわかります。

小学5年生の息子は純粋に子供目線、
わたしはアニメシリーズから好きな
ひいき目に見る大人だけど、
映画や物語を専門的に学んだ身でもある目線。
そして、弟は原作もアニメも見たことはなく、
持ち前の卓越したセンスで、
クールに分析し、だけど熱さもわかる大人の目線。

こういった三者三様の視点で観に行って、
3人とも「面白かった」と満足できた映画でした。

インターネットで酷評をされている方は
もう少し情緒というか感情的な溜めの部分を
丁寧に描かれていることを期待されたのかもしれませんね。
ドラマ部分もレースの部分もテンポが速く、
じっくり描かれているという部分は確かに薄かったかもしれません。
また、制作決定から公開までの製作期間を考えると
演出を考える時間にもかなり苦しいものがあったはずだと
予想できます。

たくさんのキャラクターが登場して
それぞれに見せ場が用意されているので、
テレビシリーズのようにじっくり描くということには
限界があるのでしょう。
でもそれは、逆に映画のテンポを
テーマである自転車ロードレースの存在にも
マッチさせて、小気味よいテンポに仕上げるのに
一役買っているともいえます。

テレビシリーズではそれぞれの物語を
じっくり時間をかけて描いた
各高校の自転車競技部の
主要キャラクターたち。

彼らが110分という通常の映画の尺で
一同に会して新たなロードレースで競い合う。
その様子がそれぞれの背景まで
匂わせながら主役の小野田坂道くんと
その先輩たちのドラマを主軸に描かれる。

じっくり描いて欲しいと感じる背景や
ドラマの部分が裏に隠れているであろう
映画的行間はそれでも充分に感じられる演出です。
少なくとも、わたしたち3人は
2時間弱があっという間で1時間程度に感じていました。

それくらい疾走感がありましたし、
物語の中に自然と入り込んでいたということです。

登場人物の見せ場を生かしながら進める
物語の作り方としては、
「アベンジャーズ」シリーズや
「ルパン三世VS名探偵コナン THE MOVIE」
に引けを取らない上手なまとめ方だと思いました。

テレビシリーズを見ていた人が楽しめる
後日談として描きながらも
テレビシリーズを見ていない人も
各キャラクターを直感的に理解できて楽しめる。

テレビシリーズのようにじっくりは描けなくても
そのシリーズの良さを凝縮したような一本。

過去、このような手法がとられて成功した作品としては
「踊る大捜査線 THE MOVIE」が代表的でしょう。

そんな作品です。

テレビシリーズでじっくり描かれた
各チーム、各登場人物の死闘…

死闘といっても戦争のような殺し合いではありません。
それぞれ、自転車ロードレースという
スポーツのルールの中で、
命を削るような思いで競争している…
つまり勝敗を賭けて戦っているわけです。

だから死闘。

物語のラストで、各主要チームが一同に会して
記念写真を撮ったカットが出てきます。
みんなとてもいい表情をしています。

劇中で準主役の箱根学園の面々が
新幹線で熊本へ向かう途中、
京都伏見、広島呉南の面々も乗り込んできます。

インターハイでは時に
演出上の悪役にすらなった面々。

それでも彼らが自転車によって
お互い認め合ったライバルであることが
そのシーンでもうかがえます。

この物語は、日本の高校生の
しかも自転車競技という1種目だけに
絞ったお話です。

それでも、勝敗を争い「死闘」を繰り広げた
敵同士が、お互いを認め合って
一緒にいるという光景は
本能的にとても愉快で喜びが湧き上がります。

世界を舞台に戦う自転車競技は
ツール・ド・フランスという世界最高峰のレースがあります。

自転車競技に限らず、すべてのスポーツは
同じでしょう。

「ロッキー4 炎の友情」では
ロッキー・バルボアがソ連とアメリカの間に入って、
多くの人たちが殺しあうより
リングの上で2人の男が戦うボクシングの方が
ずっといいと説きました。

わたしたち人類は、
殺しあわなくても、闘争本能を満足させながら
勝敗を決める術も知っていれば
勝敗ではない歩み寄りの知恵というものも持っています。

それでも、まだまだ、最後は
武力で意見を通そうとする習性の問題が拭えていない。

それでも、知性や理性を持って、
その精神性を発展させうるわたしたち人間は
武器産業や軍需産業によって成り立っている国や
国民の生活という事情までひっくるめて、
解決できる知恵を生み出すことができる。

この作品のような爽やかな映画を見ると、
湧き上がる自分の中の本能が
そういう人間の可能性を信じたいと思わせてくれます。

そういうモノを大いなる調和をもたらす魂の持ち主である
日本が、世界に発信していけるのが
この国のこれからの理想的な在り方のような気がします。



             全ての物語のために

















posted by ストーリーセラピスト at 08:00| Comment(0) | TrackBack(0) | ストーリーセラピー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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