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2014年03月02日

小説「モルフェウスの領域 海堂 尊 著(角川文庫)」無意識が仕掛けるトラップ。怒りを紐解く上級編。




なんて冷たいんだ!
お前はロボットか!人の心はないのか!

身近にいる人に期待を裏切られ
その落胆から怒りが生まれ
相手を責めてしまうことがあります。

わたしは今まで
その怒りは第ニ感情で、
期待を裏切られた落胆の方が第一感情だから
そちらを伝えるようにしよう。
という心理学を元にした考え方を
基準にしていました。

しかし、
さらに俯瞰すると、
そのことに期待したり落胆したりすること自体が
自分の大きな問題から目をそらすために
自分の無意識が自分に仕掛けたトラップなのかもしれない・・・

という、新しい視点を得て
少し動揺しています。



”チーム・バチスタ”シリーズがもとになって
その世界を広げている海堂 尊さんの作品群

「ケルベロスの肖像」で、
東城大学医学部付属病院の
ひとつの大きなクライマックスが描かれていましたが、
先日紹介した「医学のたまご」は
その何年も前に書かれた作品なのに、
「ケルベロスの肖像」の内容を踏まえた未来が描かれていました。

海堂尊さんの頭の中では桜宮市の歴史が出来上がっていて
それを好きな順番で取り出せるんでしょうか・・・
どんな頭の構造をしているんだろう・・・

今回読んだ作品にもまた驚かされました。

小説「モルフェウスの領域」 海堂尊 著 (角川文庫)

おそらく執筆当時から見ての近未来
2012年〜2015年の東城大学とその周辺を描いたお話。
「医学のたまご」の数年前ということですね・・・

桜宮市の未来医学探求センター
(通称・コールドスリープ・センター)で、
東城大学医学部から委託された資料整理をする日比野涼子には、
もう一つの重要な仕事がありました。

世界初のコールドスリープ被験者として
人工的な眠りについている少年、佐々木アツシの
生命維持の管理をすること。

アツシはかつて右眼に網膜芽細胞腫を患い摘出しましたが、
残された左眼も発症・・・
全盲の危機に直面していたところ、
数年後に特効薬の完成の可能性が見えてきました、
ちょうどそのころゲーム理論の権威者、曾根崎伸一郎教授が提唱した
「凍眠八則」を基盤として時限立法・「人体特殊凍眠法」が制定されます。
アツシは治療法が確立されることを期待して
5年間の人工的な眠りに就いていたのでした・・・



なんという壮大なテーマでしょうか・・・
よくこんなお話に挑んだな・・・と思いながら読んでいたのですが
実は、この作品はたくさんのお話を作る中で発生してしまった
時系列のズレを正すために考えられたお話なんだとか・・・

佐々木アツシくんは、”チーム・バチスタ”シリーズ第二弾
「ナイチンゲールの沈黙」に登場する少年です。
このアツシが「医学のたまご」では
主人公、薫の先輩にあたる高校生医学生として登場するのですが
それだと、アツシの年齢が合わない・・・
だから、途中で5年間冷凍睡眠したことにして
つじつまを合わせたんだとか・・・

それを逆手にとって、こんなに深い感動作を作るなんて・・・
海堂尊さん・・・アッパレです。


この「モルフェウスの領域」の前半の主人公、日比野涼子。
彼女は父親の外交の仕事の都合で幼少期を海外を転々として
暮らしてきました。
中学生のころにいた国で、名無しの医務院と出会います。
その医局員に最低限の外科の知識を伝授される涼子。

しかし、その医務員は多くは語らない孤高の医師。
その国で始まった内戦に巻き込まれ命を落とした仲間への
医務員の言葉・・・
「彼女の選択の結果だ」
に、冷たさを感じ、涼子は怒りをあらわにします。

しかし、その怒りは
より大きな問題から目を逸らすためのものでした。

亡くなったのは大使館で働く現地の女性。
涼子は、前日の彼女との会話から
彼女の死は自分に原因があるのではと思っていたのです。

いや、思っていることに自分で気付かないフリをしたくて
無意識で、その気持ちを他にぶつけるために見つけた
感情の捌け口が、医務員の言葉でした。

彼は冷たい、ひどい人だ!
という怒りにすがることで、
自責の念から自分を守ろうとしていたんですね。


この感情の流れが、
物語の中で澱みなく起り、読者の腑に落ちるように
謎が解けていく・・・感情のもつれが紐解かれていく・・・

思わず自分の怒り・・・特に「正義の心」からくる怒りに
目を向けてしまいました。

自分の中の何か・・・不都合であったり弱さであったり・・・
から目を逸らすために怒りの矛先のいけにえを
勝手にでっち上げてしまっていないか??


怒りは第二感情・・・、もうひとつわたしが良く言うのは
怒りは自己防衛本能。

この例は、自己防衛の為に第二感情をたくみに湾曲して
自分に見せている無意識のトラップですよね。

無意識と言っても自分ですから、
気付いたら意識化されます。

その時点で、自分を責めてつぶれちゃう必要はないけど、
自分を許し、怒りを癒し、次に進むためのステップにはなる。


怒りの紐解き方の応用編として、
とても素晴らしい例題を見せていただいたような気がします。




                    全ての物語のために












posted by ストーリーセラピスト at 08:00| Comment(0) | TrackBack(0) | ストーリーセラピー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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