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2014年01月15日

小説「螺鈿迷宮」海堂尊 著 エンターテイメントの甘い罠




月9のドラマが始まりました。
今回は若者の恋愛もの…

観ていると面白くてついつい見入ってしまう。

しかし、今回は見ません。
恋愛中心のドラマや映画は
どうも苦手です。

妻が見入っている横で
わたしは「イノセント・ゲリラの祝祭」という小説を
開いて読み始めました。

恋愛ドラマも見ていると面白いですから
嫌いじゃない。

でも、エンターテインメントの好みも人それぞれ。

エンターテインメントだけではなく
文学や芸術も好みは人それぞれです。

わたしも好きな文学もあれば
好みの芸術作品もあります。

しかし、そういった文芸作品が
エンターテインメントよりも崇高なものだとは思っていません。

というかエンターテインメントの方が
崇高なものだと思っているフシがあります。

文芸作品よりも高度でクールで純粋で、
それでいて、文学的だったりするから…



1月期のドラマとしてスタートした
フジテレビの人気シリーズ

「チーム・バチスタ4 螺鈿迷宮」
その原作小説


「螺鈿迷宮」 海堂 尊著(角川文庫)

読み終えました。
最近は1冊にまとまった文庫本が売っているようですね。

わたしが持っているのは(上)(下)巻で
わかれていました。

東城大学医学部の学生である天馬大吉は、
幼馴染のジャーナリスト別宮葉子の依頼で
終末医療専門病院であると共に、
黒いウワサが絶えない碧翠院桜宮病院に
ボランティアとして潜入する事になります。

ところが、潜入から半日でミスドミノとか
ターミネーターなどと呼ばれるドジな看護師・姫宮によって
怪我を負わされ、ボランティアから入院患者になってしまいます。

天馬は桜宮病院の医師達や他の入院患者達と関わるなかで、
あまりにも急速すぎる入院患者の死に対して
桜宮病院への疑問を抱くようになっていきます。

「天馬さんは絶対に私が守ります」と言いながら
何度も天馬にケガを負わせる姫宮。
あからさまに臨床経験がなく、
本を読みながら見よう見まねで治療しようとする
怪しい皮膚科の医師・白鳥圭輔。

そして、碧翠院桜宮病院の院長、桜宮巌男。
双子の姉妹、桜宮小百合とすみれ。
入院患者でありスタッフとして働いている
赤・青・黄のシャツを着た三婆=西遊記トリオ…



螺鈿細工と桜宮家の秘密…
横溝正史の金田一耕介シリーズのような
オドロオドロしさがあるミステリー…
であるはずの内容なのに
ほとんどが天馬くん視点の一人称で
語られ、その語り口のせいか
笑いながら読んでしまうユーモア。

また、空気を読まない白鳥圭輔の
傍若無人さも、おどろおどろしくなってくるたびに
雰囲気をぶち壊します。
それがまた痛快。

それでも、ちゃんと医療の闇や、
現代の医療が抱える問題。
悲しい家族の絆。
天馬の切なく文学的な恋模様。
そして、オートプシーイメージング=死亡時画像診断
という作家が常に訴え続けているテーマ…

そういった大切なものを
しっかりと読者の心に響かせていきます。

天馬くんが、
探し求めた恋人にやっと再会できたと思ったら
もっていた花束を渡す相手を奪われたような
悲しみに暮れるというシーンがありました。

全体の中のホンの数行の表現でしたが、
とても切ないエピソードでした。


下層階級の労働者の男が
上流階級のお嬢様と恋に落ち
密会を繰り返し、やがて自分たちの置かれた状況に
悲観して2人でひっそりと命を絶つ…

なんてお話をいかにも文学的な悲恋然として
2時間も見せる映画が、実は好きではありません。

それでも、村上春樹さんの「ノルウェイの森」や
ゲーテの「若きウェルテルの悩み」などは
好んで読んだ時期があります。

文芸作品が全て悪いわけではありません。

しかし、物語を人に届ける工夫をする前に
書いている本人、映画を創っている本人が
「どうだ、悲しいだろ、凄いだろう」
と浸ってしまっているような雰囲気が読み取れると
残念な思いになります。

しかし、エンターテインメント作品は
エンターテインという言葉の意味が「もてなす」
であるように、
まずは観客や読者へのおもてなしの心が第一にあります。

いかに楽しませるか。
その工夫に心血を注いでいる。
訴えたいテーマや感じて欲しい芸術、哲学、文学的情緒
というものがあっても、それをストレートに
「どうだ、すごいだろう」とは押し付けない。
ミステリーやユーモア、アクションなど
楽しいオブラートで幾重にも包んで、
観客が楽しんだら、自然とそのメッセージも受け取っていた。
そんな構造になっています。

読者・観客はエンターテインメントという甘い蜜に誘われて、
気がついたら、その心に大切なテーマを埋め込まれていた。

楽しみながら知らず知らずのうちに
成長の種を植え付けられていた…というものなのですから、
騙されたい、害より益の多い甘い罠ですよね。


その構造自体もまた芸術的ですらあります。
そして、いわゆる文芸作品を観ていると
どうも肌に合わないのが、
悲観的なモノの見方が、作品全体に漂うことが多い。
全体からそのような雰囲気を醸し出している。

エンターテインメント作品のおもてなし的な
オブラートの中に包まれている文学的情緒の方が
純粋でストレートでプラス思考であるように感じます。
エンターテイン=おもてなし=裏表なし


海堂 尊さんは、数々の医療ミステリーを
短期間で沢山発表された作家(医師でもある)ですが、
何かのインタビューで仰っていました。

小学校の高学年くらいの子どもでも分かるような文章を
心がけて書いているのだそうです。

たしかに、とても読みやすい。

この気配り、心配りのエンターテインメントは
おそらく色々なお仕事をしている人にとっても
学びや気づきをもたらします。

海堂尊さんの小説は、それぞれ単体で楽しめるのですが、
未読の方は是非、作品が発表された順番で読まれることを
おススメします。

それぞれの登場人物やエピソードが
リンクしていて、それがまたとてもワクワクさせられます。

ドラマになっている
「チーム・バチスタ」シリーズですが、
本来これは、宝島社から出版されている
田口・白鳥コンビシリーズが原作とされています。

しかし、今回の「螺鈿迷宮」はそのシリーズ外の作品で、
角川書店より出版された単体の作品。

わたしも海堂先生の作品を全て読破したわけではありませんが、
この「螺鈿迷宮」一つとっても、
田口・白鳥シリーズ第2弾「ナイチンゲールの沈黙」
と第4弾「イノセントゲリラの祝祭」をつなぐ
重要なお話にもなっている。

ドラマシリーズの完結編
チームバチスタFINAL ケルベロスの肖像
は劇場公開されるようですが、
その登場人物をみると、
今回のドラマ「螺鈿迷宮」だけではなく、
「シリーズ2 ジェネラルルージュの凱旋」なども
リンクしているのが分かります。

海堂尊ワールドは特に男の子が
カッコイイと思えるテイスト満載の小説なのですが、
後藤法子さんという女性の脚本家の方が
いったん解体し再構築することで、
小説に興味がなかった
幅広い層の人たちが楽しめる
エンターテインメント作品になったのかもしれません。

映画は、ドラマが終わる3月下旬公開なので
それまでに、原作小説を読破して
ドラマシリーズを制覇しておきたい!!


                全ての物語のために









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posted by ストーリーセラピスト at 08:00| Comment(0) | TrackBack(0) | ストーリーセラピー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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