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2013年08月27日

「東京家族」 日本式の感動創出方法、奥ゆかしさ




わたしは20歳から10年間、シナリオライティングを学びました。
その間、1度だけとあるコンクールの最終選考まで
残れたことがあります。

マーケティングやセールスの勉強をするようになって、
シナリオの構造は「感動」を生むコツの宝庫だとわかりました。

そう考えると、物語や感動については20年近く、
意識して考えてきたことになります。

このストーリーセラピーを始めたのは、
アメリカのシナリオ術は、
神話学だけではなく心理学も研究し、
人生という冒険を生き生きと乗り越えていくために必要なものだと
位置づけられているのが分かったからでした。

大いに刺激を受けたのですが、
マーケティングやシナリオのテクニック的な部分にばかり目が
行っていたせいで、日本映画に物足りなさを感じるように
なったのも事実です。

いわゆるジェットコースタームービーという
刺激を求めるようになってしまったんですね。

しかし、サービスやモノが売れていくという現象と
感動のつながりを考えていると、感動ということへの認識
そのものが変わってきました。



山田洋次監督の「東京家族」という映画を観ました。

広島の田舎から東京の子ども達に会いに出てくる老夫婦。
子ども達はそれぞれ成人していて、
長男は開業医、その下の長女は美容室を営んでいます。
一番したの次男坊は、舞台の大道具スタッフとして、
フリーターのような生活をしていました。

広島の実家では犬を飼っているので、
犬の面倒はお隣の面倒見のいい女の子にお願いして
東京に出てきた2人。

東京の喧騒に戸惑いながらも、
子どもや孫達との再会を喜びます。

しかし、東京で暮らす子ども達には、
それぞれに毎日の仕事と生活というものがあり、
東京の街同様にせかせかと忙しそう。

長女の勧めもあり、2泊3日で高級ホテルに
宿泊することになった2人でしたが、
することもなく1泊だけで戻ってきます。

その日は町内の集まりがあって家に泊められない
という長女。

最初に泊めてもらった長男の家に厄介になるのは
迷惑だろうと気を使った2人。
夫は東京にいる間に会いにいくと約束していた旧友宅を頼って、
妻は独り暮らしで散らかっているであろう次男坊宅を掃除がてら
泊めてもらうことにしようと・・・
その晩だけ別々に行動することにしました・・・



わたしたちが生活している日常の毎日を
細かく繊細な描写で、淡々と積み上げていく物語。

それでも、出だしからなぜかその世界に入り込んでいました・・・

特別な事件や非日常の大冒険があるわけではありません。
でも、一つ一つの描写が心地よくも切なくも心の琴線を震わせてきます。


次男坊やその恋人も苦手に思っている父親を
橋爪功さんが演じておられますが、
この人物が、多くを語りません。

しかし、あるとき誠実に胸の内を語るシーンが出てきます。

わたしも他の登場人物と一緒に涙を流してしまいました。


日々当たり前に過ごせていることに深く感謝して、
つつましく、奥ゆかしく生きて、
感謝の気持ちを伝える時には誠実に伝える。

本当に微妙な違いですが、
感動を生むために、一旦とてもマイナスの状況を見せておいて
その後に真実はこんな感動的なことでした。

と、ギャップによりドラマチックな展開を生むのが
ハリウッドの王道です。
これは人間の生理的な部分を知り尽くして作られた
ドラマの根源的な構造で、
「東京家族」も構造自体はおなじです。
でもやはりハリウッドのそれとは違うんですね。

何が違うのかというと、文化的、歴史的に日本人の心の
奥底に流れている奥ゆかしさ。

感動プロデューサーの平野秀典さんは、
「150%のサプライズより、101%の思いがけなさ」
という言葉で表現されています。

大きなサプライズをドカーンと打ち上げる感動・興奮というものも
ありますが、淡々とした生活の中に密やかだけど確実に
存在しているちょっとした想い。

「お蔭様で」という挨拶が生まれるステキな文化。
人のためのちょっとした行動をしても
別に見返りを求めるわけではなくただの親切。

見返りを期待していないから、思いがけず伝えられた言葉が
当たり前のことだったとしても、とても感動します。


この奥ゆかしさという日本人の感受性を持って、
創られた作品で、その感性をもって見る映画ですね。
海外でも日本の良さとして受け入れられるのは
こう言う部分なのかもしれませんね。


日々の生活で、思いがけない101%の感動を生むコツが
つかめるかも知れません。

当たり前のことを当たり前に・・・



                      全ての物語のために












posted by ストーリーセラピスト at 08:00| Comment(0) | TrackBack(0) | ストーリーセラピー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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