2013年07月01日

小説「ボーダー ヒートアイランドW 垣根涼介 著」 自分と社会との関わり方を認識する



今の生活を当たり前にし過ぎていると、
いろいろなものが見えなくなります。

特に何不自由なく生きているとしても、
自分が社会でどのような役割を担っているのか・・・。

自分と社会との関わりを意識しておくことは、
何かあったときに途方に暮れずに次の手を考えるのに
非常に大切な要素ですよね。


念願の「ボーダー ヒートアイランドW」を読みました!!

給料日の翌々日。
仕事が夕方には終わったので、
「よし今日は買うぞ!」と気合を入れて職場を出ました。

その日のお目当ては2冊、
「ボーダー」と「【新装版】やっぱり仕組みを作った人が勝っている」
でした。
「やっぱり〜」は前回「午前三時のルースター」で話題にした
ビジネスモデルに関する超ベストセラーシリーズ。

ビジネスモデルといっても、企業が資金を投資して取り組むような
大きなことではなくて、
個人が資金なしで始められることが前提となっている本です。

ジュンク堂と地下街の積文館をハシゴしてこの2冊と、
オマケに目に留まったビジネス書を1冊購入。

さあ、今月はもう財布の紐をしっかりと締めておかねば!!

と思いながらも気持ちはホクホクして、
帰りの電車を待つホームに居るときから早速読書。



「ボーダー ヒートアイランドW」

「ヒートアイランド」という作品を知らない方のために、
作品を簡単にご紹介でしておきます。

「ヒートアイランド」は垣根涼介さんのデビュー2作目。

垣根さんが何かのインタビューで仰っていたのですが、
最初の3作品は毎回必ずレベルアップしていこう!
決めて執筆していたそうです。

その思いは実際に作品にも反映されていて、
「午前三時のルースター」よりも複雑でスピーディーな展開で、
洗練されていました。

ちなみに3作目の「ワイルド・ソウル」はスケールもアップし、
女性キャラクターの描き方もリアルになって熱気ムンムン!
タイトルどおりワイルドな超骨太作品でした。

「ヒートアイランド」の主役は、ハタチ手前、10代の若者たち。
”雅(みやび)”というストリートギャングを束ねるアキと相棒のカオル。

渋谷を拠点にファイトパーティーという興行と
遠征でのストリートファイトで生計を立てていました。

あるとき”雅”のメンバーが、酔っ払ってオヤジから鞄を
かっぱらってしまいます。
しかしその中身は3千万円強の現ナマ。

実は、そのオヤジは暴力団が非合法に儲けたカネや、
政治家の裏金など、被害届けが絶対に出ないカネだけを奪う、
プロフェッショナル強奪チームのメンバーでした。

プロ強盗に違法カジノの売上金を強奪された関西系のヤクザ。
自分達のシマで好き勝手に興行をして稼いでいる”雅”に
目をつけている渋谷のヤクザ。
そして、プロ強盗の3つのヤバイ人たちを敵に回してしまった”雅”
アキとカオルは、大人たちも驚くような作戦を立てます。

この「ヒートアイランド」は数年前に映画化もされています。
設定などの変更は多少ありましたが、
映画鑑賞後の後味も
垣根さんの小説を読み終わったときの後味とおんなじ。
乾いた熱気をかもし出していました。

このアキが、シリーズの中心自分物となり、
「ギャング・スターレッスン ヒートアイランドU」では、
プロ強奪チームにスカウトされ、裏家業のOJTを受けます。
そして、「サウタージ ヒートアイランドV」で本格的に
ヒトヤマ踏んで、ハラハラドキドキしながらも、
アキやプロ強奪チームの先輩、柿沢や桃井のキャラも立って、
ニタニタしながら楽しめる痛快娯楽シリーズとなっていました。



そして、久しぶりの続編、第4弾が、
「ボーダー ヒートアイランドW」というわけです。



アキがプロの裏家業へスカウトされたことにより、
3年弱、連絡も取り合わなくなっていたアキとカオルが再会!?

ということで、ファンの間では話題になった作品ですが、
実はメインキャラクターとして、「午前三時のルースター」で16歳だった
中西慎一郎が登場します。

垣根涼介さんの公式ホームページでそのことを知って、
早く読みたくて仕方がなかったのです!!

2013年12月には、「ルパン三世VS名探偵コナン THE MOVIE」
が公開されます。

違う作品の主役たちが、ひとつの作品で競演する・・・
私はこういうの大好きなんです。
「アベンジャーズ」とか「エクスペンダブルズ」とか・・・

この「ボーダー」は、
「ヒートアイランドW」でもあり「午前三時のルースターU」でもある!!

中西慎一郎は東大の3年生になっていました。
カオルのクラスメイトとして登場します。

カオルはアキと離れてから一切の連絡を取っていませんでした。

”雅”はそれまで幹部的存在だった男のひとりユーイチに
リーダーを任せて、アキ同様カオルも完全に離れていました。

ところが、クラスメイトの中西慎一郎からの情報で、
”ニセ雅”が渋谷で悪質な”ファイトパーティー”を
毎週開いていることを知ります。

しかも3年前の事件、第一作目のクライマックスの件を
おおっぴらに語りながら・・・
さらにはアキ、カオル、ユーイチやそのたの”雅”の
主要メンバーの名前までかたって・・・

さすがにコレはマズイ!

と、アキに連絡をとり再会するカオル。
しかし、「あっち側の世界」に行ってしまったアキと
東大生をやっている表の世界の自分との違いは自覚していました。

親友との再会の喜びよりも、寂しさの方が勝っている
切ない再会。



この作品の魅力は、アキとカオルの社会との関わりあい方の
違いからくる2人の心の距離や、
お互いに誰にも語れない過去を内に秘めているモノ同士、
微妙に惹かれ合うカオルと慎一郎の関係。
そして、青春を共にした”雅”主要メンバー達の成人後の
社会との関わり方や、カオルや慎一郎たちを見る
プロ強奪チームの柿沢や桃井の目・・・。

過去、社会とどのように関わってきたか・・・
そして今、社会とどのように関わっているか・・・

それによって、それぞれの人間関係の中に生まれる緊張感。

それを物語を運ぶ力のメインに据えて、
見事にエンターテインメントに仕立てていました。



ワタクシ、生まれて初めて、
小説を買ったその日に一気に読破してしまいました♪

大体、細切れ時間(通勤の電車や休憩中)に読むのですが、
翌日が休みだったこともあり、妻と息子が寝静まってから
ページを開いたらもう止まらない!

「はあ〜!オンッモシロカッタ〜〜〜!」と気分爽快。
なぜでしょう。

切なさ残る後味なのに、やっぱりスカッとする。

スカッ・・・というか、カラッ!・・・という感じかな。


それぞれに悩みは持っているんですが、
良い意味で人を突き放した感じの自立を感じる
キャラクターたちの在り方がとても心地よいんですね。



キャラクターたちの誰もが、
裏の世界であれ、表の世界であれ、
今の自分と社会の関わり方を自覚していました。

高校中退し”雅”を起こしたカオルは、大検を取っていたこともあり、
東大生になっているし、
中西慎一郎は、「午前三時のルースター」での事件を踏まえた上で、
祖父の会社をいずれは継ぐことになる自分に腹をくくっている。
アキも、裏の世界にいる自分を改めて自覚し、
もと”雅”のメンバーも親の家業を継ぐために働いていたり、
それぞれ昔には戻れないことを自覚している。

彼らはきっと、東日本大震災のように、
社会の機能そのものがメチャクチャになることがあっても、
自分の立ち位置をしっかりと意識して、
今できる最善のことを尽くしていくんだろうなと思います。


私はまだ思うようには社会と関われていない。
目指す自分と比べると中途半端です。

でも、目指す自分と今をわかっているので、
その間を埋めるために”今”すべきことに集中できています。

どう生きるのか、どう働くのか・・・
ただ漠然と目の前の仕事に追われて月給をもらうだけではなく
その目の前の作業が誰にどのような価値(幸せ)を
もたらしているのか、イメージしながら仕事をできれば、
自分と社会との関わり方は見えてくるでしょう。



                      全ての物語のために








posted by ストーリーセラピスト at 08:00| Comment(6) | TrackBack(0) | ストーリーセラピー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
はじめまして。
最近、タイトルが面白かった「人生教習所」を読み、垣根涼介氏に嵌まってます。
思い返せば、「午前3時のルースター」はドラマで見てます。
ヒートアイランドから読み、2,3,4と読み終えました。
人生教習所の柏木が・・・
午前3時の慎一郎が・・・
えっ!と思いながらも、ニヤニヤして読んでました。

ところでお聞きしたいのですが、桃井さんの表の顔はチューンナップショップですが、柿沢さんの表の顔って表現されていましたか?
(書いてあったなら読み落としてます。すみません)

書いてなかったとすると、また、別の作品に出てくるのか、ヒートアイランド5が今後あるのか??

午前3時・・はドラマだけで原作を読んでないので、次はそちらですね。
Posted by アキ at 2016年12月04日 19:49
>アキさん
コメントありがとうございます。「午前3時のルースター」をドラマで観てるんですね!羨ましいです!いつか出会えるかな〜。「ヒートアイランド」の映画やNHKでドラマ化された「君たちに明日はない」も観られましたか?こちらも良くできていました。
わたしも柿沢さんのこと、そう言えば…と気になって調べたのですが、垣根さん自身がHPで言及されてました
↓ ↓ ↓
http://kakineryosuke.jp/profile/carAndLife.html

…いつか余に出ることをファンとして、心待ちにしているところです。
Posted by ストーリーセラピスト at 2016年12月04日 21:35
アキ、という不真面目な名前でコメントしたにも関わらず、ご返事をいただきましてありがとうございます。


柿沢さんの件、リンク先を拝見しました。
まだ、隠し札というところでしょうか。
楽しみですね。

氏の頭の中では、いろいろな人物が、いろいろなところに住んでいて、生活しているんでしょうね。

そう考えると、今後、コロンビアを書くときにはDDが登場するかもしれませんね。


ヒートアイランドの映画や、君たちに明日はないのドラマは見ておりません。
午前3時・・は、サントリーミステリー大賞はドラマ化することが受賞の特典でしたので、受賞作のドラマ化ということで、なかば偶然、目にしたものですが最後まで引きつけられました。
(調べてみると、サントリーミステリー大賞は終了しているんですね。知りませんでした)

このように偶然に見ることはあっても、自分が好きな作家さんの原作の映像化はあまり見ないというのが、正直なところです。

調べてみると、ヒートアイランドの映画では、ナオは北川景子が演じているようですね。
その点は、ご覧になられていかがでしたか?
ストーリー的に雅に女がいることはちょっと話しが合わなくなる気もしますが・・・

次は、君たちに明日はないシリーズ 5作を連続して読むつもりですが、ほかの作家さんの本も溜まってますので、垣根さんからは少し離れます。

君たちに・・・を読みましたら、また、感想を送らせていただきます。
Posted by アキ at 2016年12月04日 22:56
>アキさん

「ヒートアイランド」の映画は小説のハードで硬派なイメージがかなり削られてポップな感じになっています。アキのキャラクターも陽気な雰囲気になっているので、小説のファンが観ると人によっては残念かもしれませんね。ただ、観終わった後の後味みたいなのは垣根作品の後味でした。「君たちに明日はない」シリーズはわたしもまだ2冊目までしか読めていません。また感想をお聞き出来るのを楽しみにしています。ありがとうございました。
Posted by ストーリーセラピスト at 2016年12月05日 06:18
こんばんは。

「君たちに明日はない」3冊目まで読みました。
2冊目まではお読みということですので、言わずもがなですが登場人物や経過は「君たちに明日はない」の既出の作品から続いてます。

で、3冊目で垣根さんお得意?のほかの作品の登場人物が出てきます!!
チョイ役的ですが非常に興味深いですよ。

あと、4,5冊目まで読み、ほかの作家さんを挟んで、「ワイルド・ソウル」に繋げていきたいです。

それでは、また。
 
Posted by アキ at 2016年12月17日 21:42
>アキさん

わあ、一気にシリーズ5冊読破されるんですね。凄い。

>で、3冊目で垣根さんお得意?のほかの作品の登場人物が出てきます!!

これは初耳でした!読みたくなっちゃいました(笑)他の作品の登場人物って誰だろう…わくわく。

個人的には「光秀の定理」の文庫化を待ってるんですけどね。
HPを見てもまだ情報はないですね。

「ワイルド・ソウル」は数年前に1度しか読んでいないのですがとにかく「本気!」という感じでした。大作。

今日はわたしも書店によってみます(笑)

コメントありがとうございました!
また楽しみにしてます。

 
Posted by ストーリーセラピスト at 2016年12月18日 07:04
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