2016年12月31日

小説「終物語(オワリモノガタリ) 下 おうぎダーク 西尾維新 著 講談社」正しいことって間違いを正すこと?



あばたもえくぼで恋人のことを愛おしいと
思えていた時期は三年で終わりをつげる。

わたしは本をよく読むので
どこかでその知識を得ていました。

たしか脳科学とか大脳生理学とか
それ系の本です。

恋愛感情、恋心というのは脳の構造上
三年で終わる。
脳内の分泌物が三年以上同じ相手には出ない。

…らしい。いや、もうどの本だったかも
全く覚えていませんし、だからこうすれば…
みたいな対策も書かれていたのかもしれませんが
それも覚えていないくらいなので
どの程度正しい知識かも定かではないですが、
科学的にそういう側面があるのは本当でしょう。

そう言われて腑に落ちる人だって多いはずです。

わたしはそれを分かっていたので
妻との結婚を決める時も覚悟していました。

永遠と続く恋人のような夫婦なんて幻想。
その幻想を現実にしたいのなら、
それ相当の努力がいる。

それは、相手がどう在ろうともその全て…
これから見えてくるであろう嫌いな部分も全てを
受け止め好きも嫌いもひっくるめて愛『を』していく。
『愛を行っていく』そういう覚悟です。

だから、相手の欠点がどんどん見えてくることも
自分の欠点がどんどん相手に見えて行くことも想定内。

価値観の相違も、性格の不一致も全部想定内。

ケンカのときにそれを持ちだすと
妻には「元も子もね〜」と呆れられますが(笑)

我ながらスゲェ覚悟をしたもんだとも思いますが、
それもまた幸せな家庭を築いていく人たちの
誰もが当たり前にやっていること。

「逃げるは恥だが役に立つ」でも
「騙し騙しでも…」夫婦をやって行こう
みたいなセリフがありましたよね。

さて、相手の欠点がどんどん見えてくる。
そしてケンカになるとき、それを指摘し合うことになります。

あれがダメ、それがダメ…と。

指摘しているほうからすれば、
「自分が正しくてお前が間違っている」
ということになる。

自分は相手の間違いを指摘している。
間違いを正そうとしているのだと…
感情的には、自分がとっている立場って
そういう立ち位置にいる。

そういう構造ができあがっていますよね。

でもそれが正しい行いなのかというとそうではない。

正しい行い=間違いを正す

ではないんですよね〜
これはオトナこそ、学んでいかなければならない
大切な大切なテーマなのではないでしょうか?



完結!いい終わり方だ!と良い読後感を得て、
また一抹の寂しさを感じつつ書店で手に取ったのは
「続・終物語」(笑)
“再終話”ということらしく、それがホントの
ファイナルシーズンの最終巻になるそうです。
その前にこちらの紹介を終えておきます。

小説「終物語(オワリモノガタリ)」
下巻 「おうぎダーク」 西尾維新 著 講談社


この巻でほこれまでの物語シリーズの
ほとんどの伏線が回収されます。
(すべてではありませんでしたが)
感動的で気持ちのよいラストとなっていました。

一話目「まよいヘル」で
いったん地獄に落とされた阿良々木くん。
生き返って怪異の専門家の元締め
臥煙伊豆湖との話で、“敵”は翌日の夜必ず動く…

それまでは阿良々木くんは受験生に戻ろう。

ということでその日の受験に挑むことになりました。

二話目の「ひたぎランデブー」では
受験を終えた阿良々木くんが疲れ果てて帰宅すると
戦場ヶ原ひたぎが家の前で待ち伏せ。
そして、翌日はデートをしましょうと誘います。
恋人と言えど高校三年生…受験生。

二人は受験勉強に集中し、
高校生の恋人同士らしいことをほとんどしていない。
その分を明日一日で埋め合わせるのだと。

明日は卒業式の前日でもあり、
ホワイトデーでもありました…

そして、戦場ヶ原とのデートを終えた阿良々木くん。
夕方帰宅すると前日戦場ヶ原が待ち伏せていたように
今度は後輩、一年生の忍野扇が待ち伏せています。

そして三話目「おうぎダーク」

扇ちゃんとお話をしたあと、一人で浪白公園へ。

阿良々木くんを待っていた臥煙さんたちと合流し
いざ、最後の戦いに向けての作戦会議。

というより、敵の正体…謎を明かされながら
お互いの望みを確認し合う中で、
阿良々木くんのすべきことが見えてきます…



このシリーズ。初めて触れたのはアニメです。
当時小学5年生の息子がTSUTAYAで
「終物語」のアニメのDVD化の予告を見て
アレを観てみたいと言い出したんですね。

忍野扇と阿良々木くんが不思議な教室で
向き合っているような不思議な予告編。

それからこれが「化物語」から始まる
物語シリーズだと知り、順番に観て行くことにしました。

初めは息子が観ているのをチラチラを
観ている程度でした。

「おかしな雰囲気のアニメだな…心理描写みたいな
会話みたいなセリフばっかりで、しかもなんだ?
変態エロアニメか?子どもに見せていいのか?」

そんな風に思っていたら息子は
「めちゃくちゃ面白い!忍野メメがかっこいい!」
と食いついてしまいました。
「不味かったかな〜」と思いつつ、
わたしも最初のエピソード「ひたぎクラブ」を
ちゃんと観てみることに。

すると怪異の専門家忍野メメが
体重を失ったツンデレ少女戦場ヶ原ひたぎにいいます。
「助けない。君が勝手にたすかるだけ」
そして戦場ヶ原は自分の感情と向き合い
重みを…重さを引き受け、体重を取り戻します。

六年生になり活字慣れしていない息子に
どんな本なら読んでみたいと思う?
と聞いたときに出てきたのが「物語シリーズ」

ということで、「化物語」上巻を買ってやり
まずはわたしが読んでみました。

アニメよりも地の部分での説明がわかりやすい分
本来のテーマがしっかりと読み取れる。

「これは、君がこれから“大人は何にも分かってない!”
って思う年代になっていくときに自分と向き合う
いい本だから、チチが揃えてあげる。
読みたいときに自分のものにしていいから」

と買い始めました。そして、最後のクライマックス。
「終物語」下巻、わたしが最初に感じて
息子に買ってやる理由として挙げたテーマ

“自分と向き合う物語”

それを最後まで貫き通してくれていました。

阿良々木くんです。今回ガッツリと自分と向き合うのは。
主人公です。

正しい行いって何なんだろう…

正しさや正義という言葉のもとに
「間違いを正す」という行為をする人はいます。

でも、『間違いを正すこと=正しい行い』
で良いのだろうか…?

「まよいヘル」で投げかけられた質問を
「ひたぎランデブー」で無意識の中で投げかけられ
「おうぎダーク」で阿良々木くんなりの答えを迫られる。

正義の味方や正義そのものだと名乗る
二人の妹たちに「お前たちのは正義ごっこだ」
と言い切ってきた阿良々木くん。

しかし、じゃあ正しい行いとはなんだ?

と問いかけたときに、自分でも答えを出せない。
妹たちの間違いは指摘できても…

そうですよね。

間違いを指摘して正そうとすることが
正しい行いだとは限らない。

なぜなら、正しさなんて人の数だけある。
だから正されそうになったほうも攻撃する。

オレは間違ってない!おかしいのはお前だろう!

確かにやってはならないこと=本当の間違い

だってあります。

それでも、その人にとっての必要な行いだったのなら
法律や倫理や道徳を取っ払って考えたとき
それはその人にとっての“正”になる。

それは極論ですが、極論でシンプル化して考えなければ
自分以外の人間との付き合い方は見えてきません。

それは自分の正しさとはそぐわない
正しさを持った人たちとの共同生活ですから。

そして、自分の正しさに忠実になりすぎて
今度は自分の中の矛盾を許せなくなる人もいる。

正しさに縛られ過ぎると、自分を愛せなくなる。
正しいことを求めること自体が正しいことなのか?

阿良々木くんだけではありませんよね
わたしたち全員、そのテーマは
いつも考えてその瞬間瞬間での
答えをひとまずでも出していかなければならない。

阿良々木くんやその周りの子たちの
抱える問題はとても厄介ですが、
とてもとても真っ当に向き合い成長する姿を
見せてくれます。

これから親や先生をはじめとした大人たちを
入り口として息子自信のこころのモヤモヤが
発動し始める…息子の青春が始まる。

辛いこともいっぱい、喜びもいっぱいあるだろう
青春を生き切って欲しいから、その願いを込めて
まだ子どもの息子に買って“あげる”物語。

申し分ないと思います。

では、よいお年を!!

              全ての物語のために










posted by ストーリーセラピスト at 08:00| Comment(0) | TrackBack(0) | ストーリーセラピー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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