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2016年07月12日

小説「猫物語(ネコモノガタリ) 黒 つばさファミリー 西尾維新 著 講談社」覚悟して、壮絶に、問題を先送りする!



問題解決能力。

わたしの仕事に強く要求される能力です。

企業の場合は組織が大きくなればなるほど
セクショナリズムが強く、どの部署も
問題が起きた時の責任の所在を明確にしたがります。

そのため問題が起きた場合も
自部署の責任の範囲内のことに終始したがる傾向にある。

しかし、問題の渦中にあるお客さんには
そんなことは関係ありません。

大きな組織に勤めて、お客さんの窓口になった経験がある方は
このもどかしが非常によくわかるのではないでしょうか?

捨てる神あれば拾う神ありで、
問題が起きている最中に責任逃れに終始する人が多い中でも
責任感が強く、志の高い人もきちんといるもので、
多くの場合はなんとか問題を解決して収束できる。

そういう人たちで部署間の垣根を越えて連携できるとき
即断即決即行動での問題解決にあたる動きは
目を見張るものがあります。

ところが、社内で改善をしなければならない問題など
即断即決がなされない諸問題は、
問題自体が先送りされることも多々あります。

国の政治もそうですよね。

これは、家族・友人・恋人…職場の同僚など
人間関係に関する諸問題においてもそういうことはあります。

即断即決即行動というわけにはいかない場合も多いはずです。



小説「機動戦士ガンダムUC(ユニコーン)」を再読して
第一巻から紹介してきてひとつだけ不自由に思っていました。
どんどん読み進めながらメモを取っているのに、
紹介を順番通りにしかできないことが窮屈だったのです。
まあ、わたし自身が捕らわれすぎている部分もあるのでしょうが
物語自体が大長編の一本のお話なので、まあそれで正解だと
思っています。
でも、西尾維新さんのこのシリーズに関して言えば、
そこんところ少し自由に紹介してもいいのかなという気がしてきました。
ということで、今回は読破直後の相対的な感想から入りたいと思います。

小説「猫物語(ネコモノガタリ) 黒 つばさファミリー」
西尾維新 著 講談社


を読破しました。

大一作「化物語(バケモノガタリ)」の第一話から
度々、過去のこととして語られてきた、
主人公、阿良々木 暦くんと、委員長、羽川 翼の
ゴールデンウィークの騒動。

怪異の専門家、忍野メメや元吸血鬼の忍野忍も
関わったらしいということは、これまでのシリーズ中でも
なんとなく語られてきました。

そのエピソードシリーズ6冊目にして
やっと詳細が明かされる。
それがこの「猫物語 黒」でした。

ゴールデンウィークに入ってすぐのころ、
羽川のことが気になって仕方がない阿良々木くんは
「これは恋なのだろうか?」と
妹の月火ちゃんに相談します。

面白おかしくも、実は深い会話の後に、
結局それは欲求不満だ!という話になり、
エロ本を買いに出かける阿良々木くん。

しかし、その途中で偶然にも羽川と遭遇。
羽川の家庭で起きたことを聞いてしまい
動揺する阿良々木くん。

そして、二人は車にひかれてのか、
死んでいる猫の死体を埋葬してやります。

そして、羽川は精神に猫の怪異を宿すのでした…



阿良々木哲学、とでも言うのでしょうか。

阿良々木くんが無駄話のように、
言葉遊びのように繰り広げる
周囲のキャラクターたちとの会話や
思考の中に、とても真っ当な哲学が垣間見え
唸ってしまうことがあります。

だからこそ、このシリーズも1冊で
何か所もメモを取ってしまうのですが、
今回はまず最後のメモから。

この物語が、クライマックスでやり遂げることについて。

エンターテインメントのクライマックスというのは、
問題を解決して終わるものが多いです。
壮絶な戦いの末に問題を解決する。

しかし、この物語のクライマックスは
壮絶なのですが、壮絶に問題を先送りします。

例えば3部作の映画では、
途中から始まって、次につづく第二作目が
問題解決に至らないというのは良くありますから、
そう考えれば珍しくもないのですが、
それでもやっぱりそのテイストが違う。

この後、7冊目の「猫物語 白 つばさタイガー」がありますが、
羽川翼が精神に宿した猫の怪異の物語について
時系列でまとめると、
・「猫物語 黒 つばさファミリー」
・「化物語 つばさキャット」
・「猫物語 白 つばさタイガー」
となるようです。

初めて、「化物語」を読んだ時に、
第一話「ひたぎクラブ」と第二話「まよいマイマイ」
は、それぞれしっかりと終われた気がしていました。

しかし、特に中途半端な解決で
根っこの部分の解決にはなってないな…

と感じたのが中学二年生の
千石撫子と、この羽川翼でした。

それだけに、二人ともその後の続編で壮絶な解決を見せる。
アニメは息子と一緒に観ているので
二人が自分の問題とどう向き合っていくのか
そのクライマックスも知っています。

わたしがこの物語シリーズを好きになったのは、
第一話「ひたぎクラブ」で方向性をシンプルにまとめて魅せて、
羽川と千石のような心の葛藤の問題を
しっかりと、見応え充分に、魅せてくれたからです。

その言わば『羽川大作』の第一章。
それがこの「猫物語 黒 つばさファミリー」でした。

後に二話続くのですから、問題が解決するわけない。
むしろ問題の最初の原因を掘り下げる。

それでも、一つのお話として決着はちゃんとつけます。

最後に阿良々木くん自身が
「死に物狂いで問題を先送りした」
と表現しますが、
彼が魅せる祈りのような問いかけには
壮絶な覚悟も表現されます。

問題は常にあるもの。それと付き合っていくもの。
今すぐに問題を終わらせることは出来るけど、
全ての問題をすぐに解決できるかと言うとそうじゃない。

でも問題を先送りにするということは
あとで更に大きな問題となる可能性もはらんでいます。

そんなことも受け止めようという覚悟。
終わらせることと、解決することの違い。
そのあたりがこの作品のドラマ…
主人公阿良々木くんの葛藤の部分でしょうか?

わたしたの大好きなテレビドラマで
「鈴木先生」という作品があります。

その中で、気づいて欲しいことを
今、直接伝えるのではなくて
「折りに触れて」伝えていければいい…
という考え方が出てきます。

わたしの好きなエピソードでした。
そこには信じるという愛がありました。
それも一つの“問題の先送り”だと思います。

今回の「猫物語 黒 つばさファミリー」の
先送りはその精神的な葛藤を見事に
エンターテインメント的に壮絶なバトルとして魅せながら
読者に迫ってくる。
苦しみながら、死に物狂いで問題を“終わらせない”。
先送りにいする。

最後に倒れて朦朧とする羽川に
阿良々木くんが「いいよな」と独りごとのようにつぶやくと、
羽川も寝言を言うかのように「いいわけないでしょ」
とつぶやきます。

問題がそのままで良いわけがない。
いつかは解決しなきゃならないのかもしれない。
でも、今、終わらせるのは違う。

そういう時もある。

「もういやだ!」と全てをリセットしたくなった時、
この壮絶な問題の先送りの物語に触れてみるのも
いいかもしれません。
勇気をもらえますから。


                    全ての物語のために




















posted by ストーリーセラピスト at 08:00| Comment(0) | TrackBack(0) | ストーリーセラピー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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