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2016年07月31日

小説「猫物語(ネコモノガタリ) 白 つばさタイガー 西尾維新 著 講談社」その4 「伝える、ではなく、伝わる」も大事だけど、伝わっていても、伝えなきゃいけないこと。


言った言わないの問題。

仕事の現場ではよくあることです。

そこに言及すると、物事が進まなくなる。
でも言ったほうは「言ったのに」と納得できないし、
聞いてないほうも「言われてない」と納得できない。

だから、この問題はいつまでもなくならない。
だからこそ報連相が大切…だなんて話になる。

サービスの業界では
「伝える より 伝わるを」
ということをモットーにして顧客対応をされている
企業も多いのではないでしょうか?

わたしも、電話での応対に
10年以上携わっているのでそのあたりは
常に心がけているところです。

しかし、伝わっていればそれでいいのか?

という問題も、実はこの世には存在する。

伝わっていればいいんじゃない。
自分で伝えなあきゃ意味がないんだということ。

あなたが伝えなきゃ意味がないんだということ。

それは、つまり在り方の問題。
礼儀の問題。
相手に対する礼儀であり、自分に対する礼儀。

聞きたくない、目にしたくない、
マイナスの反応が返ってくるとわかっていても
自分で直接伝えないと意味がないこと。

というのはありますよね。



数冊前に戻ります。「囮物語」を紹介するまで
このテーマは保留にしていました。
今回のシリーズ読破計画中でこの作品を取り上げるのは
これが最後です。

小説「猫物語(ネコモノガタリ) 白 つばさタイガー」
西尾維新 著 講談社


シリーズの主人公・阿良々木くんがそうであるように、
このシリーズの女子キャラの中で
わたしももっとも“慕う”のが羽川翼です。

その羽川が語りべとなり、
阿良々木くん不在の高校三年生の二学期始業式からの
数日間を描いたお話。

羽川が身に宿した怪異は、障り猫。
銀色のしっぽのない猫の死体を埋めてあげた
ゴールデンウィークに、
初めてブラック羽川に変身した羽川が登場します。

家族の問題に起因するストレスの権化。
町に怪異を引き寄せるきっかけであり
阿良々木くんを吸血鬼にした“元吸血鬼”によって
ひとまず封じ込められたブラック羽川。

しかし、一学期のうちに再び
ストレスの権化として登場します。

二度目は、阿良々木くんへの叶わぬ恋心が
そのストレスの元でした。

ブラック羽川は羽川本人を「俺のご主人」と呼び、
ご主人はお前(阿良々木くん)のことが好きにゃんだよと
阿良々木くんに羽川の気持ちを代弁します。

つまり、羽川は自分ではなく
自分の怪異に言わせてしまった。

そして、この「猫物語 白」では、
髪を切り、メガネからコンタクトに変え、
なにやら成長の兆しを見せる羽川ですが、
始業式の朝、そんな彼女の目の前に
巨大な虎の怪異が現れます。

そして、登校後、学校の窓から
自宅が燃えているのを目撃した羽川は
その家事をきっかけに、
ブラック羽川が三度登場するのでした。



いわゆる多重人格というのでしょうか?
そういうものを怪異という妖怪変化をモチーフにして
エンターテインメントとして描いている。

そんな印象が強いお話です。

ディズニー・ピクサーの映画で、
自分の中の感情を擬人化して魅せた
「インサイド・ヘッド」というCGアニメーションがありますが
同じような視点の青春小説とも言えるのかもしれません。

今回は、この一連の問題…つまり
自分自身の内面に羽川自身が向き合う物語。

謎解きのように、自分の謎に挑む羽川は
やっぱり“本物”だと感じさせられます。

そして、今回は、ブラック羽川を
自分だと認めて、向き合います。

つまり…
自分の言葉で、きちんと阿良々木くんに
気持ちを伝えるんですね。

羽川の気持ちは
ブラック羽川から阿良々木くんに伝わっているので
阿良々木くんは、
本当はもう羽川の気持ちは知っています。

だけど伝わるんじゃ駄目なんだ。
伝えなきゃ駄目なんだ。
返事をもらわなければ駄目なんだ。
(P276より引用)


羽川はフラれるとわかっていて、
きちんと伝えて、きちんとフラれる道を選びます。

とても素敵なシーンです。
ここはアニメでもとてもよく描かれていました。

羽川を語りべにしただけのことはある
読み応えたっぷりの快作。

「囮物語」では、千石撫子が語りべ。
千石が自分を突きつけられる物語。

しかし、千石は羽川のように、
探偵のように自分の心の秘密に果敢に
挑戦していきません。

逃げ続けます。目をそらし続けます。
そして、追い詰められて、自分を壊してしまう。

ですから、文章トリックも「猫物語 白」とはまったく違います。
語りべ本人が目をそらしていることを、
周囲が直球ど真ん中で責め立てる。

そして、暦お兄ちゃん(阿良々木くん)に
自分の気持ちをちゃんと伝える機会もないまま
バレてしまって、大好きな暦お兄ちゃんを
亡き者にしようとする。

羽川は高校三年生ですが、千石は中学二年生です。
成熟度も全然違います。
比べるものではないのでしょうが、
どちらも現実に即して考えてみても
自分から目をそらすということをとてもよくとらえていて
自分を受け入れることでの成長をとてもドラマチックに
描いてくれます。

とは言え千石の物語は次がクライマックスです。
そのクライマックスがまた羽川とは違う意味で
見ものなので、非常に楽しみです。

さらに、シリーズ最終章が出た後に
また新たな物語となるのでしょうか
千石のその後の物語も出版されているようです。

羽川は、今読んでいるところまでですでに
地雷が埋まっているような地帯で
ジープを乗り回すような、
そんなキャラになっているようです。
さすが”本物”です。

相手はもう自分の気持ちを知っている。
断られることもわかっている。
でも、ちゃんと自分で伝えて、
ちゃんと自分が断られなきゃならない。

面倒だけど、ちゃんと向き合わないといけないこと。
これを自己満足だなんていわないで
しっかりと向き合ってくれた阿良々木くんも
とても素敵でした。

中高生、思春期の10代の少年少女のみならず
大人にもいつまでも問われていることです。

エンターテインメントでもてなされながら
自分の成長を考える。
とても、いい経験になるシリーズだと思います。


               全ての物語のために











ラベル:小説 猫物語 ネコモノガタリ つばさタイガー 西尾維新 講談社 その4 「伝える、ではなく、伝わる」も大事だけど、伝わっていても、伝えなきゃいけないこと。 言った言わないの問題 仕事の現場ではよくあること 物事が進まなくなる 「言ったのに」と納得できないし 「言われてない」と納得できない 報連相 伝える より 伝わるを サービスの業界 をモットーにして顧客対応 電話での応対 伝わっていればそれでいいのか? 自分で伝えなあきゃ意味がないんだ 在り方 礼儀 相手に対する礼儀であり、自分に対する礼儀 聞きたくない 目にしたくない マイナスの反応が返ってくるとわかっていても 囮物語 阿良々木 羽川翼 高校三年生 障り猫 ブラック羽川 三度登場 多重人格 妖怪変化 エンターテインメント インサイド・ヘッド 自分自身の内面に 向き合う 謎解きのように、自分の謎に挑む フラれるとわかっていて きちんと伝えて、きちんとフラれる とても素敵なシーン 読み応えたっぷり 千石撫子 語りべ 探偵のように自分の心の秘密に果敢に 挑戦して 逃げ続け 目をそらし続け 追い詰められて 自分を壊して 暦お兄ちゃん 自分の気持ちをちゃんと伝える機会もないまま バレてしまって 中学二年生 自分から目をそらす 自分を受け入れる 成長をとてもドラマチックに しっかりと向き合ってくれた 大人にもいつまでも問われていること いい経験になるシリーズ
posted by ストーリーセラピスト at 08:00| Comment(0) | TrackBack(0) | ストーリーセラピー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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