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2017年01月08日

小説「愚物語(オロカモノガタリ) #1 そだちフィアスコ 西尾維新 著 講談社」ひねくれているように見える人の心の中



マイナス思考よりプラス思考

なんて言葉に違和感を感じる人、
納得できないという人、
も多いと思います。

もっと、言えば、
自分はそういう考え方を否定する!!

と完全に答えを出してしまっている人も
実は結構な数いる。

それ、非常によくわかります。



家で一日本を読みふける。読書が好きなわたしですが
これはなかなか叶えられないことなんです。
たまの休みは普段できない仕事をしたり、
自分の時間が作れた時にはドラマや映画を見てしまう。
でも今回の正月休み(といっても飛び飛び休でしたが)
の中で一日だけほぼ一日、この小説を読みふけっていました。

小説「愚物語(オロカモノガタリ)」 
第一話 「そだちフィアスコ」 西尾維新 著 講談社


を読みました。

「終物語」上巻で登場した老倉育。

彼女は、直江津高校の阿良々木くんたちの
クラスに復帰してすぐに転校しました。

彼女は箱邊(はこべ)という名字の老夫婦に引き取られ、
都会に引っ越し、夫婦の勧めもあって
地元で一番の公立の進学校へ編入したようです。

もう三年生の二学期の終わりも近いころ。

三学期はほぼ学校には行かなくてもよくなるので
とりあえずあと一か月ほど何事もなく
クラスで過ごせれば受験もできる…

老倉はそれまでの自分の失敗を顧みて
普通の転校生であろうと努力しますが
彼女の頭の中は卑屈と被害妄想の塊。

自分でも自覚していて、それを踏まえて
対策を考えはするのですが、その考えが
結局は自分の考えのため上手くいきません。

初日に自己紹介でとちったあげく
クラスで友達が少なくて浮いていそうなヤツとなら
友達になりやすそうという間違った判断をしてしまい
孤立した雰囲気の忽瀬亜美子という女子生徒に
声をかけます。

しかし亜美子は無視。

普通なら放っておけばいいと思うだろうと老倉も
考えはするのですが、そこは老倉、
“普通”ではありません。
休み時間のたびに声をかけ、あげく亜美子は
逃げるように教室から飛び出していきます。

半ば意地になって老倉が後を追うと、
亜美子は老倉を屋上に呼びつけ、
何のつもりなのかと怒ります。

ところが亜美子の話を聞いていると
クラスのメンツの人間関係など
詳しい情報を老倉に教えてくれます。

つまり、クラスで浮いている自分なんかにかまっても
老倉の得にはならない、みんなのことを
教えてあげるから自分なんかにかまわずに
みんなと仲良くやってくれ…

ということのようです。

その日の下校時、老倉はクラスのリーダー的存在の
珠洲林リリに出くわし、話しかけられます。

その物言いから、どうやらリリと亜美子は
対立をしており、クラス内でどうふるまえば
みんなと仲良くできるかをアドバイスしているようです。

初日は亜美子に声をかける老倉を
変わり者をみるような目で見ていたクラスメイトたちは
次の日から転校生としてチヤホヤし始めます。

一方、その日から亜美子は
学校に来なくなっていました。

しかし、そのままではいられない老倉育は…

「愚物語」刊行 「終物語」放送記念特別サイト
http://kodansha-box.jp/topics/nishio/orokamono/


インターネットの評判では、このお話は
不評が多いです。

事実、このシリーズで初めて読まずに飛ばした…
なんていうファンのレビューもあるくらい。

結論から言うと、わたしはスカッとしました。

しかし、マイナスの感想が多いのもわかります。
語り部が老倉育自身です。

「終物語」上巻で精神的に
かなり危うい状態だった彼女。

阿良々木くんと和解とは行かないまでも
阿良々木が老倉と向き合ったことで
ひとつ前進できそうな気配を見せて
引っ越していきました。

それでもその生い立ちからくる
精神構造はかなり危うい。

そんな彼女が語り部です。

実際、彼女アタマの中が描かれるわけですが
客観的なモノの見方がほとんどできないのでしょう。

彼女以外のキャラクターも登場して
いろいろとしゃべっているはずなのに
かぎかっこがほとんど出てきません。

老倉の解釈で全てが進んでいく感じ。

前半ははっきり言って辟易(ヘキエキ)します。
卑屈、マイナス思考、被害妄想のオンパレード。

しかし、ちょうど中盤当たり
雰囲気が一変します。

老倉は卑屈でマイナス思考で被害妄想も
けた外れで、自分で自分の性格が嫌いです。

それだけ嫌なヤツ。
読者も見放すくらい嫌なヤツです。

でも、ズルくはない。

そして、どうやらズルいヤツは嫌い。

そんな性格が中盤で出てくる。
そしてそこからは老倉は動きます。
どんどん動く。

おとなしくしていれば一ヶ月
静かに転校生として生きていけるのに
そんなことはかなぐり捨てて動いちゃう。

彼女は思っていました。
自分の選択が間違っていようがなんだろうが
自分で動いて得た結果しか受け入れないと。

幸せだろうが、そうでなかろうが、
自分でつかみ取った結果しか受け入れない。

彼女がなにをして、その結果がどうなるのか?

それは読んでいただくとして、
問題は彼女の覚悟です。

伊達に不幸に生きてきていない。
望んでなった結果ではないでしょうが
それでも一人で悲惨な生い立ちのなか
生きてきただけあります。


幸せになるには覚悟が要ります。

老倉ほど卑屈でマイナス思考で被害妄想だと
幸せはなかなか遠いように思えますが、
老倉には一番大事な覚悟の部分はある。
ということではないでしょうか。

その上で、彼女の主観で書かれている
非常にかたよった描かれ方ですが
その主観が実は思いっきり嫌な自分を突き放して
客観的に観ようとしているのも良く分かる。

読者をヘキエキさせるくらいのマイナス思考の中に
そんな自分を真っ正面から受け止め
自分で得たものを受け止める覚悟ができている。

マイナスだろうがプラスだろうが
自分の人生を受け止める覚悟ができている。

「マイナス思考よりプラス思考」という言葉に
違和感を感じる人はこのことの大切さを
うっすらとでも感じているのではないでしょうか?

そして、本当のプラス思考というのは
そういうことなんじゃないですかね。


              全ての物語のために










posted by ストーリーセラピスト at 08:42| Comment(0) | TrackBack(0) | ストーリーセラピー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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