2017年03月10日

小説「撫物語(ナデモノガタリ) なでこドロー 西尾維新 著 講談社」相手を知り、自分を知り成長できるゲーム



エンプティチェアという療法があります。

一人で椅子を二つ用意して
自分と向かい合わせに椅子を置く。

そこに不満を持っている対象がいると
想定して不満をぶつけてみる。

そして、今度は空っぽの相手側の椅子に
自分が座って、その不満を抱いている
相手になったつもりで
自分が元いた椅子にいると思って
自分に対して相手の言葉で反論する。

相手の気持ちを想像したり
理解したりすることができるだけではなく
相手から自分がどんな風に見えていたのか?
ということも分かるようになってくる。

相手の気持ちになる
自分を客観的に観る

そういう療法のひとつなんですね。

わたしたちは成長の過程で
こういうことを頭の中で自然と出来るように
なっています。

大人になるとはそういうこと、
だけども、対人関係で心を病む人たちには
そういうことが当たり前に発達しなかった人もいる。
そういう成長の機会を得られなかった人もいる。

そういう人たちにとって有効な療法…

なんて書くと、なんだか精神ぜい弱な人のために
病院で実践されている医療的な治療のように
思えてしまいますが…実際にそうでもありますが、

ハッキリ言って、わたしは実際に自分でも
たま〜にやりますし。
(今も折りたたみの椅子が後ろに置いてあります)

ひとりで静かに瞑想、妄想するような時間は
イメージの中でこういうことをしている時間でもあります。

自分はもう成長した大人だから
不要だと思っている大人ほど危険な大人はいない。
それはわたしの信念でもあります。



ついにオフシーズンの完結編「結物語(ムスビモノガタリ)」
も刊行されました…ファイナルシーズンが終わって
オフシーズンも終わって…終わり続ける物語は
次なるシーズンに突入するようです。
してくれるようです♪

小説「撫物語(ナデモノガタリ)」
第零話「なでこドロー」 西尾維新 著 講談社


を読みました。

小さい頃から憧れだった暦お兄ちゃんが
自分のものにはならないと知り、
蛇神にまでなって暦お兄ちゃんと
その恋人の戦場ヶ原ひたぎを殺そうとした
当時中学二年生の千石撫子。

彼女を救ったのは、いくつもの怪異を
相手取ってきた暦お兄ちゃんではなく、
怪異の専門家の忍野メメでもなく、
詐欺師…でした。

千石が神様になっていた間、
彼女は当然行方不明です。

そして、無事に”保護”された彼女は
今度は自宅療養…言いかえれば登校拒否、
言いかえれば引きこもり。

しかし、彼女が詐欺師に救われたのは
自分と向き合うきっかけを作ってくれたから。

決して、魔の手から守ってあげたわけでも
現実と向き合えない彼女を
ヨシヨシしてあげたわけでもありません。

千石は死にたくなるほど恥ずかしかった
自分の夢と向き合い
幼馴染みの友人、阿良々木月火ちゃんに
手伝ってもらいながら、
そして、暦お兄ちゃんとその妹である月火ちゃんの
監視役をしている人形怪異の斧乃木余接ちゃんにも
手伝ってもらいながら、
一生懸命、夢にかけて賞に応募するための
漫画を書いていました。

そんな千石があることがきっかけで
斧乃木ちゃんの力を借りて、
式神で自分の分身を4体作ります。

しかし、4体が逃げだしてしまい…



面白くて面白くて、一気に読んでしまいました。

登場人物たちが成長し続ける物語。

「終わる終わる詐欺だ!」
なんて揶揄するファンや元ファンもいるようですが
そもそも作者の西尾維新さんが趣味で書いている
というのが一番の動機なのですから
付き合う付き合わないは読者の勝手です。

そしてわたしはまだまだ読みたいと
思っているほうのファンです(笑)

ファーストシーズン、セカンドシーズン、
ファイナルシーズンまでは
伏線がどんどん広がって、
ファイナルシーズンで”大体は”回収されました。

しかし、このオフシーズンは、
伏線の広げ方が少し穏やかです。

むしろ、ひとつひとつの話しの中で
しっかり完結させようとしている感じのほうが
より強くなっています。

そういう意味では、一冊一冊の満足感は
高いと言えるのかもしれません。

でも、アニメで「終物語」の最後の部分が未だ
発表されていません。
それを考えると、オフシーズンまではアニメ化
されないのだろうか…
と心配になります。

だとするとアニメもとてもよくできているので、
親子でファンであるわたしたちは寂しい。

さて、今回はまるまる一冊で、千石撫子が語りべ。
主人公が千石撫子です。

「化物語」から、わたしがもっとも嫌いだった撫子ちゃん。

しかし、中学三年生の年齢になり、
暦お兄ちゃんとの決別も迎え、
自分を受け止め前に進もうとしている
この作品の撫子ちゃんは、立派に主人公でした。

4体の自分の分身。

それぞれ見わけがつくようにと、
時期ごとの自分をモデルにしてキャラ付けされた
”自分たち”

しかし、勝手に飛び出した彼女たちを
捕まえるために、彼女たちと向き合う
”今撫子”=主人公は、
過去の自分、自分の中にある自分の一部と
客観的に向き合うことになる。

非常に上手い表現・設定ですよね。

「キッド」というウォルト・ディズニー・ピクチャーズの
名作がありますが、あれは
40歳になる直前に10歳の自分が
過去からやってくるというお話でした。

あの頃の自分と対話する。
あの頃の自分が目の前に居たら、
今の自分にはどんなことを言ってやるのでしょう?

逆にあの頃の自分は今の自分を見て
どう思うのでしょう?

これは、自分と向き合うときの
イメージ方法の技術の一つでもあります。

それを発展させて、幸せになっている未来の自分や
不幸になってしまった未来の自分、
いろいろな世界の未来の自分が今の自分に
どんな言葉をかけようとするのか?

あなたも、空っぽの椅子を一つだけ準備して
一人のときに、自分の向かいに置いてみませんか?

向かい合わせる勇気が持てなければ
90度の角度で置いてみると
少し緊張がほぐれて気持ちが動きやすくなることもあります。

自分を知る、人の気持ちを想像する。
”遊び”として、楽しんでみてください。


               全ての物語のために








posted by ストーリーセラピスト at 08:00| Comment(0) | TrackBack(0) | ストーリーセラピー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする